◇バンコク市内・近郊の探鳥地
◇3つの国立公園と見られる野鳥
◇撮影フォト(2023年5月以降、タイ国内で撮影)
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1.バンコク市内の公園
バンコクは800万人の人口を擁する大都市ですが、都心近くに整備の行き届いた公園があります。その中で4か所ほどご紹介します。
@ベンチャキティ公園 Aルンピニー公園
この2つの公園は都心の南寄りにあって、ほぼ繋がっていますので併せてご紹介します。ベンチャキティ公園はBTSスカイトレインのアソーク駅または地下鉄MRTのクイーンシリキット国際会議場から徒歩数分〜10分程度、ルンピニー公園はBTSのサラデーン駅またはMRTのシーロム駅から徒歩数分と、いずれも利便なところにあって都民の憩いの場となっています。ルンピニー公園は水辺も豊富な日比谷公園といった趣の人工的な都市公園で、観光客が「ワニがいる!」といって騒ぎになる、実はおとなしいミズオオトカゲが生息しています。ベンチャキティ公園はタバコ公社の跡地を利用して、この地に本来あったと考えられる湿性環境を復活させ、そこを高架歩道で散策できるようにした公園で、ルンピニー公園とは好対照ですが、市内では一番にお勧めの公園となります。
共通に必ずみられる野鳥は、チョウショウバト、カノコバトなどハトの仲間、鳴き声が特徴的なムネアカゴシキドリとオニカッコウ、ヒメアマツバメ、ムクドリの仲間のインドハッカ、オオハッカ、クビワムクドリ、スズメとカラス各2種(イエスズメ、スズメ、イエガラス、ハシブトガラス)、ヒタキ科ではこの地を代表するシキチョウ、ムナオビオオギビタキ、そのほかオウチュウ、ヒヨドリの仲間ではメグロヒヨドリ、ミミジロヒヨドリなどです。コウライウグイスもさほど珍しくはありません。さらにベンチャキティ公園の水辺を中心に、サギではコサギ、アオサギ、ササゴイといったおなじみの種に加えてアカガシラサギの仲間(非繁殖期の判別が難しい)がよく見られます。NHKの「ダーウィンが来た」でも子育てが紹介されたスキハシコウは、ベンチャキティ公園で採餌行動が見られます。そのほかシロハラクイナ、インドヒメウ、アジアコビトウ、シマキンパラなど。
 
Bスリナコン ケン カン公園
チャオプラヤー川がバンコクの西を南流してすぐに大きく蛇行し、広い巾着田のようになった地域があります。開発を逃れて別名「バンコクの緑の肺」と呼ばれる地域となっていますが、この一角にあるのがスリナコン
ケン カン公園で、王室の提案もあって環境保全地域となっています。交通はやや不便ですが、BTSのウォンウェンヤイ駅からタクシー、又はクロントイ港から渡し舟が使えます。@、Aでおなじみの野鳥の他に、コウハシショウビン、コアオバト、ハイイロオウチュウ、シロガシラトビなどが高頻度で見られます。

C ラーマ9世記念公園
バンコクの東寄り、エアポートレイルリンクのバンハチャン駅か、イエローラインのシ ウドム駅からバスまたはタクシーになりますが、新しく整備された広い公園で熱帯植物園・薬草植物園なども備えています。期待される鳥はベンチャキティ公園と共通の種のほか、ここで繁殖するヤツガシラや、日本など極東で繁殖して11〜3月に戻ってくるヒタキの仲間などがあります。
2.バンコクからの日帰り探鳥地
Dバンポー リゾート
バンコクから日帰りで海の鳥を見るなら、こちらが初心者向けとなります。公共交通はBTSのスクンビット線がケーハまでしか行きませんので、そこからタクシーなどで15分ほどです。ちょっとした観光地で、一部餌付けもされてしまっていますが、チャガシラカモメ、クロハラアジサシをはじめ多くの水鳥に会えます。桟橋の他はマングローブの林と干潟になっていて、私はなかなかタイミングが合わずにいますが、干潮時に訪れればシギ・チドリ類も多くみられることと思います。

Eパトゥムタニ ライス リサーチセンター
広く公開されている場所ではありませんが、国立の稲・バイオ関連の研究所で、広い圃場にはバーダーが自由に出入りしていて、ちょっとした穴場です。交通はヴィクトリーモニュメントから路線バスか、レッドラインの北の終点ランシット駅かBTSの終点クーコット駅からタクシー等を利用します。圃場では都心の公園でもおなじみの鳥のほか、セイタカシギ、インドトサカゲリ、アカガシラサギが多く見られます。ここで見逃せない隠れたポイントは、敷地の北西端にある池の周囲です。私が行った時はたまたまかもしれませんが、クロカッコウハヤブサやヤツガシラも見られました。

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| タイ国内の3つの国立公園と見られる野鳥 画像クリックで拡大画像表示 |
1〜2泊程度で楽しむ、タイ国内の3つの代表的な国立公園での探鳥についてご紹介します。いずれも茫洋とした山域で、ガイド等なしでは探鳥スポットにたどり着くのが容易ではないかもしれません。季節はそれぞれに楽しめますが、一般に気温が高すぎず、山蛭に悩まされることの少ない季節として11月〜1月がお勧めでしょうか。ただし、北部では近年、2月を中心に
PM2.5による大気汚染が深刻です。いずれも入園にはひとり200バーツから400バーツの入園料を徴収されますが、これが公園の維持整備の足しとなっています。すべての国民の共有資源として入園料を一切徴収しないことを旨としてきた日本の国立公園ですが、ここにきて「利用協力金」を徴収するケースも出てきており、世界標準やエコツーリズムの推進の立場からも参考とすべき段階かもしれません。
1.カオヤイ 国立公園(Khao Yai National Park, タイ中部〜東北部)
タイで最初の国立公園であり、バンコクの東北約200kmに広がる広大な山域を占め、タイの中央部と東北(イサーン)地方にまたがっています。常緑の熱帯雨林を中心に多様な森林が広がり、多くの滝など地形的にも変化に富んでいて、アジアゾウ、レパードをはじめとして生物多様性が豊かです。2005年にはユネスコ世界自然遺産にも登録されています。野鳥も豊富で、シンボルともいうべきオオサイチョウ、キタカササギサイチョウをはじめとするサイチョウの仲間、ズアカキヌバネドリ、キツツキ類、クマタカはじめ猛禽類、コサメビタキやハイガシラヒタキなどヒタキ類、カザリショウビンなどカワセミ類などが見られます。バンコクから車で直接か、タイ国鉄東北方面線でパークチョン駅に向かい、そこから車の利用となります。キャンピングサイトなどが充実していて、一大リゾートとなっている点は少し違和感を覚える方もいるかもしれませんが、欧米のような滞在型リゾート地といった方がピンとくるかもしれません。ホテルなどは公園内ではなく、おもに山麓にあって車で通うことになります。
  
2.インタノン山 国立公園(Doi Inthanon National Park, タイ北部)
タイ北部の古都、チェンマイから北部山地に入ったところに広がる国立公園です。インタノン山(標高2565m)はタイの最高峰でもあり、しかも山頂付近まで車で行くことができます。霧と雨の多い森の中は、ランやシャクナゲの仲間、シダやコケが発達して独特の景観を形成しています。とくに赤いシャクナゲはシンボル的な存在です。年末年始頃の早朝には、気温が10℃以下に下がることもありますが、常夏の国で日常を過ごしていますと、非日常的に四季を思い出してすがすがしく感じられます。展望を楽しみながらハイキングができるトレイルが何本も整備されています。かつてはミャンマーやラオスの国境にかけてケシの栽培も盛んでしたが、現在は王室プロジェクトなどによる努力の結果、多くがコーヒー豆、野菜や花の栽培に切り替わっているほか、少数民族をガイドに雇ってのエコツーリズムも、地元に現金収入をもたらしています。チェンマイの市内観光と兼ねて訪れる人も多いようです。
 
3.ケーン クラチャン 国立公園(Kaeng Krachan National Park, タイ中部〜南部の入り口)
バンコクの南西約300km、マレーシアへと続くマレー半島の付け根、ミャンマーと国境で接する地域に広がる、タイでは最大の面積の国立公園です。多様な植物相や動物相で構成されていて、乾生フタバガキ、混生落葉樹、乾生常緑樹、山岳常緑樹などの森林があります。アジアゾウやシカ類、ネコ科の動物なども豊富で、2021年にはユネスコ世界自然遺産に登録されました。細い回廊のようになった半島部を通って、渡り鳥たちが南北に移動するため、年間を通じて見られる野鳥はこの国随一ともいわれています。年間を通じて見られるシンボル的存在の野鳥としては、カササギサイチョウ、クロラケットオナガ、ギンムネヒロハシなどのほか、季節による渡り鳥、旅鳥なども多く観察されます。シロボシオオゴシキドリなどゴシキドリの仲間、ミドリテリカッコウ、キンバトやオオスズメフクロウ、ミナミカンムリワシ、ミナミツミといった猛禽類、オニクロバンケンモドキ、チャムネバンケンモドキといったなじみの薄い中〜大型の野鳥、家禽の原種と言われるセキショクヤケイなどもよく見られます。表玄関はリゾート地として知られるホアヒンで、ここから車利用となります。私は明るくないのですが、蝶類好きにはたまらないところでもあるようです。
 
以上、3つの代表的なタイの国立公園での探鳥の例を簡単にご紹介しました。皆様の今後の参考になれば幸いです。
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