Q4 ツバメはいつ日本に渡ってきますか。また、南に帰るのはいつ頃ですか。 |
A4 下の図は、日本ツバメ研究会が20年間(1973〜1993年)に渡って、日本各地への渡来日を調べ、平均日を表したものです。これによれば、ツバメが鹿児島県につくのはだいたい2月下旬〜3月上旬です。関東地方は3月下旬〜4月上旬です。多摩地域もこの時期に渡ってくるといえます。秋、南へ帰るのは、観察記録などから、9月中旬〜10月下旬とされています。(「ツバメ観察事典」構成・小田英智)
Q5 ツバメはなぜ、渡りをするのですか。 |
A5 なぜ渡るのか。定見はなく様々な説があります。
(「動物たちの超能力・渡り鳥」伊藤政顕監修/祐学社)
Q6 ツバメは、何を目標にして渡るのですか。 |
A6 渡りをする鳥一般に言えることは、昼間渡る鳥たちは、太陽を目印にして渡るべき方向をきめます。これは、ホシムクドリの渡りの時期に、等間隔に6つの窓をあけた円筒形の小屋の中に入れて実験した結果分かったことです。夜に渡る鳥たちは星座をたよりにしています。これは、ルリノジコをプラネタリウムの中にいれて、星座を人為的に変化させることによって調べて分かったことです。この他に、エムレンの実験(1975年)では、風向きや地磁気を利用して渡っていることが分かっています。
(「鳥たちの生態学」)
ツバメは夜、昼どちらに渡るのか。カモ、コウノトリ、ハクチョウなどと同様に、昼間渡るとされています。(「渡り鳥」内田清之助)。従って、太陽が目印と考えられています。目的地の見分け方は、海岸線、山、川の別に判別し、さらに内陸へと行く。日本の主な山脈を越えて南から北へ行くときは、できる限り低地を通る。例えば、北陸へのコースは大阪湾から琵琶湖上空を通過して敦賀へ抜けて日本海沿いに北東へ行く、と考えられています。
(「渡りの仕組み」/「私たちの自然」鳥類保護連盟)
Q7 日本のツバメはどこから渡ってくるのですか。渡りのルートは? |
A7 マック・クルー氏の標識調査(米軍駐在地)及び山階鳥類研究所によれば、日本を故郷とするツバメの越冬地はマレー半島、フィリピン、台湾、オーストラリア、などとなっています。(「ツバメ観察事典」構成・小田英智&「ツバメのくらし」菅原高二著)
Q8 ツバメは毎年同じ巣に戻るのですか。 |
A8 「ツバメやコウノトリは、生きている限り、前年と同じ巣に戻ってくる傾向がある」(「鳥たちの生態学」/樋口広芳)という説があります。足輪をつけて調べた報告によると次の通りです。足輪をつけた親ツバメ240羽のうち、翌年戻ってきたのは54羽(22.5%)です。そのうち、同じ巣に戻ったツバメと、違う巣に戻ったツバメは、ほぼ同数でした。
(「多摩の動物群像」金井郁夫著(かたくら書店新書))
Q9 ツバメは春渡ってくる時、家族一緒になって渡ってくるのですか。 |
A9 たくさん集まって一緒に渡るのではなく、1羽ずつ飛んできます。♂は♀より数日早く繁殖地へ渡来する場合が多い様です。
(あすなろう書房 みる野鳥記「ツバメのなかまたち」)
倉本さんカット(1羽の飛翔)
Q10 春渡ってきたとき、去年の巣が壊れて残っていなかったらどうするのですか。 |
A10 「ツバメ」の成鳥は、去年の巣を憶えていて間違いなくその近くに戻ってくるそうです。巣が壊れて残っていないときは、♂はその近所に残っている巣を探し、まだその巣の♂が戻っていないときはそれを占領します。そうした巣が無いときは去年の巣の近くで♀を待ち、協力して新しい巣を作ります。
Q11 ツバメは渡りの時1日にどの位飛びますか。 |
A11 渡りの時は1日300q以上移動します。飛行能力は極めて優秀で、高
速で飛行し、航続力も素晴らしいものです。
ツバメは2月初旬に西南諸島に現れ日本列島を9度Cの等温線に沿って1日20q〜30qずつ移動し、4月下旬に北海道に現れます。
(「ツバメ・ムクドリ」菅原光二著)